暗号資産業界においては、ハードフォークという事業が話題になることが多くありますが、何となく耳にしたことはあるが、詳しいことは分からないという方も多いのではないでしょうか。また、中には、持っている暗号資産から派生した別の暗号資産を同じ数量が分配されるのでお得というイメージを持っている方もいるかもしれません。
では、果たして、ハードフォークとはユーザーにとってどういった影響があるのか、基本的なところから説明します。
ブロックチェーンとは、プログラムによって定められたルールに基づいて、暗号資産の取引データ(トランザクション)を記録(ブロックを生成)するソフトウェアに相当するものと考えてください。ハードフォークは「永久に分岐」するということで、ソフトウェアの仕様変更により、従来のものと互換性のないソフトウェアが公開されるイメージです。
ブロックチェーンは、トランザクションの集合体であるブロックが生成され鎖のように連なったデータ構造ですが、すでに生成されたブロックは改ざんできず、正当なブロックチェーンは本来1つです。そこに、ソフトウェアの仕様変更が行われた際に、ネットワーク参加者のすべてが一斉に新バージョンへアップデートしてくれればよいですが、管理者のいない分散型ネットワークであるため管理者が強制的に移行させることはできず、新バージョンを使用するノードと旧バージョンのまま使用するノードが存在することになります。
この新旧に互換性がある場合の分岐は一時的なもので、最終的には一つのブロックチェーンに収束します。これをソフトフォークと呼びます。これに対して、新旧の互換性がないものを「ハードフォーク」と呼び、ブロックが途中から分かれ、従来の暗号資産とは別の新たな暗号資産が生まれることに繋がります。ハードフォークが成功してどちらのブロックチェーンにも十分なユーザーが存在する場合、両方の暗号資産が価値を持ち続けることになります。一方、片方のブロックチェーンだけを利用した場合は、もう一方のブロックチェーンで流通する暗号資産は使われなくなります。
ハードフォークが発生する前後は、対象となる暗号資産の取引は何が起こるか分からないため、送金等は制限されるのが一般的です。また、元の暗号資産の価格もどのような変動が起こるかも予想がつきません。さらに、実際にハードフォークが成功した場合でも、新たに生まれた暗号資産を取り扱うかどうかは、日本国内では各暗号資産交換業者の技術的な対応と規制当局の審査があるため、新しい暗号資産を簡単に手にできるということはありません。
過去、様々な暗号資産でハードフォークが行われ、いくつかの新しい暗号資産が生まれていますが、ハードフォークの発生によって生じる事象は一律ではありません。過度な期待は抱かずに、その時々のニュースに注意をするようにしましょう。
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