アトムとは
アトム(ティッカー:ATOM)は、異なるブロックチェーンが集まったネットワーク「Cosmos Network」における主要なブロックチェーン「Cosmos Hub」のネイティブトークンです。 Cosmos Networkは、異なるブロックチェーン間の相互運用性を実現することを目指し、分散型アプリケーションの開発者やユーザーにとって重要な役割を果たしています。
以下では、Cosmos Networkとアトムのユーティリティについて概説します。
Cosmos Networkとは
Cosmosは、ブロックチェーンの相互運用性を提供するプロジェクト/エコシステムであり、それによって相互運用が可能になったブロックチェーンのネットワークをCosmos Networkと呼びます。 Cosmos Networkでは、異なるブロックチェーン同士の接続と、資産やデータの移動が容易になります。 Cosmos Networkは「ブロックチェーンのインターネット(Internet of Blockchains)」とも表現されます。
Cosmosは、2014年にJae Kwonによって設立され、Tendermint BFTと呼ばれる新しいコンセンサスアルゴリズムの開発から始まりました。 その後、2016年にCosmosのビジョンを詳細に説明したホワイトペーパーが公開され、Cosmos Networkの基礎が築かれました。 2019年には、Cosmos Networkの一つのハブとして機能するCosmos Hubがローンチされ、Cosmos Networkの開発が本格化しました。
相互運用性の仕組み
Cosmos Networkは、ハブ・アンド・ゾーンと呼ばれるアーキテクチャを採用しており、ハブチェーンとゾーンチェーン、及びその他のチェーンから構成されています。
ゾーンチェーンとその他のチェーンには技術的な要件の違いがありますが、いずれにせよ、相互運用性を実現したいチェーンに相当します。簡単のため、以降はこれらをまとめて「ゾーンチェーン等」と表記します。 例えば、ビットコインとイーサリアムを相互運用したいとき、各ブロックチェーンがゾーンチェーン等に当てはまります。
ゾーンチェーン等の間では、IBC(Inter-Blockchain Communication)と呼ばれる通信プロトコルを通じて、ブロックチェーン間の通信とデータ転送を実現できます。 ただし、各ブロックチェーンの組毎に接続を確立すると、チェーンの数が増えるに従って、その数は膨大になります。 そこで、ハブを設け、そこを経由して接続するように各チェーンをセットアップすれば、各チェーンの接続はハブチェーン向け1点のみで完了します。
Cosmos Hubは最も代表的なハブチェーンの一つです。
Polkadotとの違い
CosmosとPolkadotは、どちらもブロックチェーンの相互運用性を目指すプロジェクトですが、それぞれ異なるアプローチを取っています。
Cosmos Networkは、IBCプロトコルとハブ・アンド・ゾーン・アーキテクチャを採用し、異なるゾーンチェーン等を接続することで相互運用性を実現しています。
一方、Polkadotは、リレーチェーンとパラチェーンの構造を採用しています。リレーチェーンはネットワークのコンセンサス形成とセキュリティを担当します。パラチェーンではコンセンサス形成とセキュリティをリレーチェーンに委ね、バリデータは不在です。そして、パラチェーンがリレーチェーンと直接メッセージをやり取りすることで相互運用性を実現しています。
このアーキテクチャの違いから導かれる一つの顕著な相違点は、 Cosmosにおけるゾーンチェーン等が、ハブチェーン無しでも独立にセキュリティを担保し、ブロックチェーン・ネットワークとして機能するのに対して、 Polkadotにおけるパラチェーンはリレーチェーンのセキュリティに依存しているため、リレーチェーン無しで実用的な機能を持つような設計となっていないことでしょう。
ブロックチェーン作成の簡易化
Cosmosエコシステムには、Cosmos SDKと呼ばれる、特定の用途に特化したブロックチェーンの作成を用意にする開発用ツールがあります。 これを利用すれば、スマートコントラクトと同等の難易度で、ハブチェーンとなるTendermintベースのブロックチェーンを作成でき、したがって相互運用性も確保できます。 モジュラーな設計を前提としていることも、Cosmos SDKの特徴の一つです。
また、Ethermintというツールを使えば、イーサリアム仮想マシン(EVM)をCosmos SDKとして利用できます。 これにより、Cosmos Networkに対応したハブチェーンを作成し、その上で、EVM向けに作成したスマートコントラクトを稼働させることもできます。
アトムのユーティリティ
アトムはCosmos Hubのネイティブトークンとして重要な役割を果たしています。以下はアトムの主要なユーティリティです:
- ネットワーク手数料:Cosmos Network内でのトランザクションやデータの転送には手数料が発生します。この手数料はアトムで支払われ、ネットワークの負荷を抑える役割を持ちます。
- ステーキング:アトムはネットワークのセキュリティを維持するためにステーキングに使用されます。ユーザーは自身のアトムをステークし(預け入れ)、ネットワーク共通のセキュリティに貢献することができます。
- ステーキング報酬: ステーキングを一定期間続けると、ステーキング報酬が配布されます。この源泉は、ネットワーク手数料と新規発行アトムです。
- ガバナンス:Cosmos Networkでは、アトムの保有者はネットワークのガバナンスに参加することができます。重要なプロトコルのアップグレードや意思決定に関与することで、ネットワークの発展に寄与することができます。
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